ジョギングなどの有酸素運動をすると、筋肉が分解されて筋低下してしまう。
なんてことをよく言われます。
また、筋肉の分解のことを「カタボリック」なんて言われます。

えー有酸素運動で筋肉が分解されちゃうなんて知らなかった(;´Д`)

確かに筋肉の分解って聞くとビックリしちゃうかもだけど、カタボリックというのは筋肉の分解だけでなく、体を構成する上で必ず起こることなんだ!
ここでは、カタボリックについてと有酸素運動での筋肉分解を抑制する方法をまとめました。
運動によるエネルギー源
生物が活動する上でエネルギーは欠かせないもので、食べるという行為を得てエネルギー源を確保しています。
特にエネルギーを数値化したカロリーを考慮して食べることが、エネルギーを効率よく使うにはとても重要です。
ATPの分解と再合成
生物は筋肉を動かすことで行動することができますが、この活動はATPが生成されADPへと分解されるときのエネルギーを利用しています。
体内にあるATPは限られているため、分解され残ったADPは他の成分と結合することで再びATPへと再合成され、エネルギーを生み出すサイクルになります。
ADPからATPへの再合成に必要な成分系統には大きく分けて3つあり、クレアチンリン酸系、解糖系、有酸素系があります。
クレアチンリン酸系
筋肉にあるクレアチンがリン酸と結合することでクレアチンリン酸ができ、このクレアチンリン酸とADPが結びつくことで、ATPを再合成させるのがクレアチンリン酸系になります。
酸素を必要とせず、短時間で再合成させることで爆発的なエネルギーを得ることができますが、クレアチンリン酸自体の貯蔵量が少ないため、長時間活用することができません。
最大減活用できる時間は8秒ほどと短いので、火事場のクソ力のようなここぞというときや100m走などの短距離走に利用される系統になります。
解糖系
グリコーゲン(糖質)をピルビン酸へと分解する際にATPを再合成させる系統になります。
クレアチンリン酸系よりも長く活用することができ、最大で33秒前後と言われています。
解糖系も酸素を必要としませんが、運動強度を下げることでだんだんと有酸素系へとバトンタッチしていきます。
有酸素系
ピルビン酸や脂肪酸からアセチルCoAが生成されクエン酸回路によってATPが再合成される系統になります。
クエン酸回路には酸素が必要になるため、呼吸によって酸素を取り込み燃焼させるのですが、ATPを再合成させるスピードが遅いため、運動強度が強くなると利用できなくなり解糖系へとバトンタッチします。
ただ、脂質があれば生成量は遅いものの無限にATPを再合成できるため、運動強度が低い有酸素系がダイエットに向いていると言われるのです。
運動によって異なるエネルギー源
運動時の強度や継続時間などによって、使われる3つのエネルギー源が異なります。
運動強度の弱い持続性のある運動時には有酸素系のエネルギー源を多く利用し、運動強度が高まるにつれて解糖系そしてクレアチンリン酸系へと変化していきます。
運動強度が低いジョギングなどが有酸素運動って呼ばれるのも、この有酸素系によるエネルギーが多く利用されるためであり、運動強度が高い運動時に解糖系・クレアチンリン酸系と酸素を使わないエネルギーが多く利用されるため無酸素運動と呼ばれるのです。

運動強度が弱い有酸素運動では、脂肪がよく使われるからダイエットに使われるんだね。

この後説明する、エネルギーの蓄えられる量などもトレーニングには重要になるからね!
有酸素運動による筋肉分解
有酸素運動時には有酸素系のエネルギーを利用されることが多いですが、そのエネルギーの仕組みは酸素を使い糖や脂肪酸やアミノ酸を分解することになります。
脂肪の燃焼
有酸素系では脂肪をエネルギーに変換するのが主であり、特に最大心拍数の65%ほどの運動強度が一番脂肪を燃焼しやすいと言われています。
これよりも運動強度が高くなると、呼吸が荒くなるように酸素の摂取よりも消費が上回ってしまうので、脂肪を燃焼することができず、徐々に糖を使用する割合が多くなり、解糖系へと変化していきます。
ダイエットには有酸素運動が良いと言われるのが、エネルギーとしての脂肪をより燃焼するからなんです。
とはいっても有酸素系では脂肪の他、糖やアミノ酸などもエネルギーとして利用されるためエネルギーの枯渇が起こってきます。
エネルギーの枯渇
解糖系などに使われる糖は直ぐにエネルギーへと変換できる反面、体内で貯蓄できる割合が少ないため、直ぐにエネルギーの枯渇が起きます。
一方、有酸素系での脂肪は、体脂肪がある分エネルギーへと変換できますが、変換までに時間が掛かってしまうため、それだけでは運動エネルギーとして間に合わなくなってしまいます。
例えるなら、水の入ったタンクですね。タンクは小さいが蛇口を捻るとたくさん水がでる糖質タンクと、タンクは大きいが蛇口を捻ってもチョロチョロしか水が出ない脂肪タンクって感じです。
有酸素運動では、脂肪を燃焼することで運動を継続することができますが、それだけではエネルギーが足りないので糖質やアミノ酸もエネルギーとして利用します。しかし、長時間の運動になると糖質やアミノ酸は枯渇してしまうため、他のエネルギーはないかと筋肉にあるアミノ酸をエネルギーとして分解しようとします。
これが、有酸素運動で筋肉分解が起きる理由となります。

有酸素運動で使うエネルギーがなくなっちゃうから筋肉が分解されるんだね。

そうだね!では、筋肉分解のときによく使われるカタボリックについてもう少し深く探ってみよう!
カタボリックとは?
カタボリックとは異化と呼ばれることで、別に筋肉の分解だけで言われることではありません。
古くなった細胞が分解されることや、新しいエネルギーへと変換される際の分解もカタボリックといえます。
また逆に合成されることをアナボリックといい同化になります。
筋肉が肥大し合成されることや新しい細胞が産生されることなど全てが同化です。
同化と異化のバランス
同化するアナボリックと異化するカタボリックが同化=異化の場合、カラダには大きな変化はなく、例えば体重が一定などもイコールといえるでしょう。
この同化(アナボリック)と異化(カタボリック)は絶えず行われることで健康を保っています。
しかし、筋肉の場合でいえば、同化 < 異化となってしまうと筋肉が分解され筋肥大が進まずやせ細ってしまいます。
一方、いくら異化が進んだとしても同化 > 異化となれば筋肉は肥大することになります。
有酸素運動でカタボリックを防ぐには?
先述した内容をまとめると、
- 運動強度によってATP再合成の系統が違う。
- 長時間の有酸素運動はエネルギーが枯渇する。
- 同化 < 異化だと筋肉の分解が促進されてしまう。
こんな感じです。
有酸素運動では筋肉同化が少ない
有酸素運動は運動強度が低い運動になるので、筋肥大が少ない、つまり同化(アナボリック)が少ないということになります。
一方、エネルギーが枯渇すると有酸素運動だろうが無酸素運動だろうがカタボリックは進みます。
無酸素運動の場合、カタボリックが起きたとしても筋肥大が起きやすい同化を行っているので、同化 > 異化になれば筋肉は肥大していきます。
しかし、有酸素運動にはこの同化が少ないため、同化 < 異化になりやすく、筋肉が分解が促進されてしまうのです。
栄養補給をしっかりと行う
筋肉の分解を抑制させるためには、エネルギーが枯渇しないようにすることが必要です。
マラソン選手が給水でエネルギー補給するように、有酸素運動時にはこまめに栄養を補給することと、運動前に栄養を蓄えておくことが必要になります。
1つは糖の摂取。どんな運動でも糖は必要とされるため、一度に多量に摂取するのではなく、運動前後などエネルギーが枯渇しないように摂取しましょう。
もうひとつがアミノ酸の摂取。特に筋肉合成に欠かせないBCAAやEAAなどは血中にたくさん蓄えていられるように摂取しましょう。
筋トレを取り入れる
有酸素運動ばかり行っては筋肉の合成が促進されないため、カタボリックは進む一方です。そのため、筋トレを取り入れることが必要です。
筋肉はカラダにとっては燃費が悪いものなので、筋トレをしないと必要最低限以上は全て落ちていってしまいます。つまり、何もしなければ分解が進んでしまうってことです。
筋肥大する筋トレをトレーニングに組み込むことで、筋肉を合成促進させ、同化が優位に働けば筋肉の分解を抑制することができます。
ちなみに、ダイエット効果を高めるには無酸素運動後に有酸素運動をすることがおすすめです。
長時間の有酸素運動をやめる
長時間の有酸素運動はエネルギーの枯渇を生み出します。また、有酸素運動ばかり行うと、筋肥大しにくい「遅筋」の割合が増加し筋肥大しないカラダに変わっていってしまいます。(マラソン選手の体系がいい例ですね)
また、有酸素運動を中心にトレーニングを行うと、UCP3というタンパク質の働きが弱くなって燃費がいいカラダへと変化していきます。
燃費がいいカラダということは痩せにくく太りやすいカラダへと変わっていってしまうことですので、リバウンドしやすいことになります。
筋肥大してマッスルな体型になりたい男性、健康的でスリムな体型になりたい女性は、有酸素運動をばかりをやりすぎないようにしましょう。

筋トレしてからジョギングするなど、偏ったトレーニングをしないことがいいんだね!

最初から無理をする必要はないからね。有酸素運動と無酸素運動を別の日に行ったり、有酸素運動は短く切り上げるなどなど。トレーニングを継続させることを重点的に考えよう!
カタボリックのまとめ
- カタボリックは全ての運動で起こる。
- 有酸素運動では筋肉の同化が起きにくい。
- だから、エネルギーが枯渇すると有酸素運動では異化してしまう。
- エネルギーを摂取する。
- 筋トレを取り入れる。
- 長時間の有酸素運動をしない。