昔から疲労物質としてトレーニングの邪魔者扱いとされる「乳酸」
それは本当なのでしょうか?

トレーニングに疲れると、「乳酸がたまっちゃって~」なんて言っているワタシ。

20年くらい前なら疲労物質扱いされた乳酸だけど、医療科学の発達で、今は新しいことがだんだんとわかってきているんだよ!
乳酸についてまとめました。
運動前にストレッチなんて言われますね。トレーニングやスポーツ前に全身の筋肉をほぐすことで運動時のパフォーマンスの最大化や怪我の予防をする。しかし、ちゃんと理に叶ったストレッチをしないとパフォーマンスが落ちることを知ってますか?こ[…]
プロテインの中でもよく耳にする種類が「ホエイプロテイン」というもの。トレーニングジムに通い、マッスルマッスルな人にとってみれば、毎日欠かせないものですが、これから筋トレを始める初心者やダイエッターにとってみれば、実際に必要なものか理解し[…]
乳酸とは?
糖質が解糖系(嫌気的代謝)で代謝・分解されてできる生成物。
身体の中では筋肉でエネルギーを作るとき、糖(グリコーゲン)が分解されてできる。
つまり、激しいトレーニングのときに産生されるのが乳酸なんですが、もう少し説明していきましょう。
運動によって違うエネルギー
有酸素運動や無酸素運動など、名前でトレーニングの種類はなんとなくわかりますが、この名前はエネルギーとして酸素を必要としているかしていないかの違いです。
軽いジョギングなどの有酸素運動の場合、脂肪を燃焼させるために酸素を使います。しかし運動強度を上げると呼吸が追い付かず酸素を取り込めなくなってしまい、脂肪を燃焼させることができないため、糖を分解してエネルギーに変えます。
糖の分解には酸素を必要としないため、運動強度が高いときは糖を分解する無酸素運動ってことになるんです。
糖の分解
さらに無酸素運動には2つのエネルギー源を持っていて、糖の分解はそのひとつです。
糖は主に400mなど中距離的な種目のエネルギー源になります。この糖を分解されるときに産生されるのが乳酸です。
もう一つがクレアチンリン酸を分解しADPからATPを生成しエネルギーとする方法です。スプリント系種目に使われるエネルギー源で、クレアチンが運動の限界突破として利用されるのはこのためになります。
疲労物質と呼ばれるワケ
つまり、ある程度の運動強度が高い場合にエネルギーを使った残りが乳酸であり、車で言えば排気ガスみたいな感じで乳酸は疲労物質となったわけです。
実際、呼ばれ始めたのがカエルを使った研究結果により提唱されたことが始まりです。
カエルの筋肉を使った研究に基づき 1929年に Hill らが提唱して以来、乳酸は筋肉疲労の原因物質として考えられてきた。これは、乳酸の蓄積によるアシドーシスにより収縮タンパクの機能が阻害されたためと理解された。
乳酸は30分で消える
乳酸が疲労物質である場合、運動後の翌日の疲労も乳酸の影響と考えられますが、血中乳酸値は運動後30分ほど経過すると運動前の血中乳酸値ほどに下がっています。
乳酸が出にくい有酸素運動をしても永遠にできないことや、30分ほどで乳酸が少なくなってしまうことを考えると、筋肉疲労には乳酸以外の原因が考えられるのではないでしょうか。
乳酸の働き
乳酸が疲労物質でなければ一体乳酸の働きは何なのでしょうか?
エネルギーとして活躍
実は乳酸は疲労物質とは逆のエネルギーとして働きます。
糖を分解によって産生された乳酸は血液によって肝臓へ運ばれ肝臓にある酵素によってピルビン酸に変換されそして糖へと最終変換されます。
また、乳酸が作られるのは高強度運動で使われる筋肉、つまり速筋が多い場所でで乳酸が作られます。
血液によって全身に運ばれる乳酸は、肝臓以外にも遅筋線維や心筋に運ばれミトコンドリアのエネルギーとして、低強度の運動時に利用されます。
つまり、乳酸はリサイクルされエネルギーとして働いているのです。
乳酸を食べている?
ヨーグルトなどに含まれている「乳酸菌」。乳酸菌は代謝により乳酸を産生する細菌です。つまり、体内で乳酸を作り出すモノになるんです。
乳酸菌を食べることで、主に腸内細菌のバランスを整える整腸作用の働きをします。また、免疫を活性化させるなどカラダに有益な働きをしてくれるのです。
乳酸は疲労物質ではなく、カラダに有益な働きをしてくれるのです。
ホントの疲労物質とは?
では、本当の疲労物質とは一体なんなのか?
トレーニングにおいて筋肉疲労とは一体何なのでしょうか?
筋肉痛
筋肉痛の本当の原因は今だ解明されていないですが、筋肉線維が破壊されたことへの炎症作用によって神経へ伝達され筋肉痛が起こるとされています。
痛みが起これば体の動きは痛みを軽減させるため動きを制限しようとしますが、この行為が疲労感へと繋がっていることも否めません。
この過程で筋肉は超回復をしようと休息と栄養を求めることも疲労感へと繋がっているでしょう。
体が酸性に傾く
生物は生命活動を行う上で酸素は必須の物質ですが、呼吸をすることで体内に巡った酸素の一部は活性化され活性酸素になります。
活性酸素は免疫機能を上げる役割を行いますが、過剰な量の活性酸素は細胞を傷つけ、ストレスとなります。
有酸素運動はより酸素を取り込もうとするので、長時間行うと活性酸素によって疲労が出ると考えられます。
また、糖を分解し乳酸が作られる過程でも水素イオンが作られるために筋肉が酸性へと傾きます。
エネルギーの枯渇
無酸素運動で使用するエネルギー源の糖は、エネルギーとして変換しやすいですが、体内のストック量はそれほど多くなくそぐに枯渇してしまいます。
枯渇してしまったらエネルギーが無い状態ですので、運動機能が落ち疲労と繋がっていきます。
カルシウムの働き
筋肉の収縮・弛緩には細胞内のカルシウムイオンの濃度変化によって行われるのですが、高強度の運動を行う際、ATPの分解や再合成にリン酸が分離し蓄積されていきます。
このリン酸がカルシウムイオンと結合することによって筋収縮の動きが悪くなり疲労へと繋がっていることも考えられます。
乳酸だけが悪者ではない!|まとめ
- 乳酸はエネルギー源の糖を分解することで産生される。
- 乳酸はエネルギーとしれリサイクルされる。
- 疲労は乳酸だけで起こるのではない!

疲労したときは乳酸が原因っていうのはウソなんだね!

乳酸を産生する際に酸性に傾くことでも疲労は感じるけど、それだけでは疲労は語れないんだ!様々な原因が重なることで疲労は起きます。一番の回復は「休養」「栄養」をしっかり取るってことじゃないかな?
参考文献
ちょっと太ってきたからダイエットしないと…ダイエットの方法は主に、「食事制限(カロリー抑制)」「有酸素運動(ランニング)」「無酸素運動(筋トレ)」などになりますが、このページでは「無酸素運動(筋トレ)」について、自宅で効果的に痩せる&筋[…]